FC2ブログ

宮本充のきまぐれ週報2

喜劇は難しい

隣のメンバー六人

で浮気?」の神奈川県の公演が終わりました。
全18ステージ。
終わってみると、あっという間だったような気がします。
藤沢市で最後の舞台を終えた時、寂しい気持ちを同時に、ホッとした気持ちになりました。
無事に終えることが出来た安堵感。
…本当に大変な舞台でした。

エイクボーンは意地悪です。
こんな役者泣かせの芝居を書くなんて!
奇想天外の舞台構成。
少しでもタイミングを間違うと、芝居が台無しになってしまうような、細かい演技の連続でした。
彼の作品は、よくあるドタバタ喜劇ではありません。
会話の奥底には、それぞれの人間の悩みや苦悩があり、演じる役者は、そういったものもしっかり背負っていなければなりません。
そして、なおかつ、軽妙に演じなければならないのです。

4年前の初演の時に、演出のニックさんがこう言いました。
「舞台の幕が上がってから下りるまで、舞台上には大きな風船のようなボールがひとつあると思って下さい。皆さんは協力して、そのボールを頭の上で、フワフワと手で浮かしながら演技をするのです。そして、そのボールは決して、頭より下に下がってはいけません」

今回はこう言いました。
「常にシャンパンの泡が弾けているように。明るく、軽く」
これはもう、本当に、難しいことなのです。

稽古の終盤には、皆、かなりのストレスを抱えていました。
こんな会話も交わされていました。
「どう、眠れてる?」
「いえ、駄目です。薬を飲まないと…」
「同じ、同じ」

そんなある晩。
稽古を終えて、カヨピンと一緒に帰った時のこと。
帰り道で彼女がポツリといいました。
「喜劇と悲劇を比べたら、喜劇の方が絶対に難しいと思う…」
彼女の言ったことには僕も同感でした。

悲劇が簡単などとはもちろん思いません。
しかし、悲劇は、演じる人物の思いをつかんでさえいれば、多少、間が出来ても、タイミングがずれても、声が大きくなっても小さくなっても、成立する場合が多いのです。
しかし喜劇は、演じる人物の思いはちゃんとつかんだ上で、それ以外に、というか、それ以上にやらなければならないことがあるのです。
「お前は芝居というものを分かっちゃいない」と言われるのを承知で言います。
突き詰めればどの芝居も難しい、しかしそれでも、喜劇は悲劇より難しい。

古場での最後の稽古の日。
遠し稽古が終わり、ダメ出しの時間になりました。
皆、疲れがピークに達した状態でした。
するとニックさんが、「これは、イギリスの演劇界で昔からある笑い話ですが」と話し出しました。

イギリスのある舞台俳優が病の床に伏せっています。
病は重く、いよいよ今わのきわ。
苦しむ彼の手を握り、息子が言いました。
「父さん、苦しいだろうね、辛いだろうね…」
すると彼は言いました。
「いやあ息子よ。喜劇をやった時のことを思えば、大したことないさ」

この話を聞いて、僕は、スーッと気持ちが軽くなるのを感じました。
他の共演者も、そうだったと後で言っていました。

そうなのです。
やはり喜劇は難しいのです。
役者は苦労し、のたうちまわり、その代わりにお客様が笑って下さるのです。
カーテンコールで温かい拍手を貰えるのです。
それが当然のことで、そして、それこそ役者冥利と言えるのではないでしょうか。

秋楽の舞台を終えて、湘南台駅近くの居酒屋で打ち上げをしました。
メンバーは異口同音に、こう言いました。
「またやりたいね!」
みんな、あんなに大変な思いをしたのに…

ニックさんと

打ち上げ会場で、ニックさんと。(右はカヨピン)

時には厳しく、ということはなく、いつも優しく、的確なアドバイスで、僕達を素晴らしい喜劇の世界に導いてくれました。
いま思うと、あの笑い話は、ニックさんの創作だったのかも…
この後は中国で演出をするそうです。
本当にありがとうございました!

れた手」の稽古が始まりました!
今度は、超硬派のセリフ劇です。
皆さま、是非お越し下さい!
舞台をご覧頂いた方に、ささやかなプレゼント。
今回は漫画です。
僕の学生時代の想い出を小さな漫画本にします。
昔、少年ブックや、少年画報の付録についていたようなヤツです。
ただ今、下書きを描いているところ。

劇団昴のチケットコール(03-6907-8415)にお申し込みの際、「宮本充のブログを見た」と仰って下さい。
公演の詳細は、劇団ホームページまで!




スポンサーサイト



  1. 2013/04/23(火) 00:55:05|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0

不可能なポーズ

舞台でスパナ

真の左の絵は、「隣で浮気?」で僕が演じているウィリアム。
上司の家の壊れた排水管を直しに、スパナを持って飛んで行くところです。
これは、4年前の初演の時のブログプレゼント用に作ったポストカードの版画。
当時は、この背景に、びっしりとロンドンの名所を刷りました。
今回、その時の版木の何枚かを使って、人物のみを刷ったのです。
お礼状などに使おうと思って。
木版画は、こういう時に便利です。

この版画をブログネタにしようと思い立ちました。
劇場にいつもより早めに入り、誰もいない舞台で、この絵と自分を並べて撮ることにしたのです。
カメラをセルフタイマーにして、ひとりで色々と試行錯誤していると、カヨピンがウォームアップをしに現れました。
「何ひとりでコソコソやってんの?」
「実は…」と事情を説明すると、
「そんなの私が撮ってあげる」
と、カメラをヒョイと取り上げて、
「はい、行くわよ。ほら、もっと足上げて!」
「上がらないよ、体かたいんだから!」
「ハラハラ、ハラハラ」
「何それ?」
「お爺さんが粉をふいている音」
「よく意味分かんないけど腹が立つ…」
「ちょっと早くして。私忙しいんだから」
「君が撮ってやると言ったくせに!」
などと言いながら撮った写真がこれです。
ようやく分かりました。
漫画で、よくこんなポーズが描かれてるけど、実際には出来ないということが。

で浮気?」の神奈川公演、早いもので、今日を含めて、残り4ステージとなりました。
あっという間でした。
本当に寂しい…
この公演が終わると、すぐに次の稽古が始まります。
6月の俳優座劇場。
サルトル作、「汚れた手」
ブログプレゼントもやります。
何をするかは、ただ今考え中。
でも今までとは、かなり違うものになりそうです。
乞うご期待!

では、今日は横須賀に行って来ま~す!

  1. 2013/04/11(木) 12:24:40|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0